POWDER COMPANY GUIDES対談企画第二弾 前編 [人と自然と向き合うバックカントリー編]
Date:2023.03.20
Category: GUIDE MENU
POWDER COMPANY GUIDES対談企画 第二弾 前編
[人と自然と向き合うバックカントリー編]
第二弾は、パウダーカンパニ―が誇るスノーボーダー、山田誠(マコ)&岡田修(オーム)の2人が、バックカントリーの真髄を語ります!
前編となる今回は、雪山で自然と対峙するために必要なことを、2人の愛ある言葉でお届けます。
Photo by Kage
仲間との信頼関係
増田:以前、オームさんから、マコさんへのリスペクトを伺ったのですが、お二人の関係性を教えてください。
オーム:よくわかったでしょ。(ニセコに来てマコちゃんと)喋ったり、一緒に過ごして(笑)
マコ:これってお互い様の話なんだけど、一番付き合いが長いしね。20年くらい付き合ってるからね。お互い顔見ればわかるよね。
オーム:他のガイドともそう。「あ、うん」で動ける。みんな信頼し合ってるから。
Photo by Kage
増田:古村さんとコバさんの対談と重なります。チームワークですね。そういえば、オームさんから「古村さんにラッセルの大切さを教わった」と伺ったことを思い出しました。
オーム:お客さんがついて来られる歩幅を考えることの大切さを、俺は若い時に古村さんに教わった。だからテールをしてる時もラッセルには気を遣うよね。例えば、マコちゃんの後ろに背が低い女性がいて、大変そうに見えたら、自分が間に入って足跡を作るとかね。
増田:まさに「あ、うん」の呼吸ですね。お二人が長い付き合いの中でもめたりしたことってないんですか?
オーム:楽しい雰囲気の中で揉めるってないよね。そもそもお客さんを楽しませる空間なわけだし、楽しい空気を出したいよね。
マコ:もめる要因がないよね。
増田:お二人が何気なくお話されていることって、実はすごいことなんだと思います。
揉める要因がないくらいに信頼し合っていて、共有し合っているということですね。
マコ:(笑顔でうなずく)
Photo by Kage
増田:共有といえば、毎日の朝礼で、最後にマコさんがその日の気象条件や雪の状態について皆さんに共有していますよね。マコさんのNWGA会長というお立場もそうですが、皆さんにとってそういう(頼れる)存在なのだなと感じています。
マコ:パウダーカンパニーのメンバーは、話す前から共有しているし自分自身でもその日の状況をしっかり考えてきている。その上で、朝礼の中で、全員で再確認をする感じだね。雪を触った感触や、皆でここを気をつけてチェックしようということを話すことで、安全に対する意識はより高まるのかなと。
オーム:マコちゃんは、凄いよ。俺とは別タイプのガイドだから。俺は、実力をよくわかっている常連のお客さんをアテンドする機会が多いんだけど、マコちゃんは、初めてのお客さんを7人8人と、連れていくことが出来る。それってとんでもない(スキルがあるという)ことなんだよね。
マコ:めちゃくちゃ頭使うよね。どこに行こう、どうしたらお客さんを楽しませることが出来るかって、朝からずっと考えるよね。今日のコンディションであれば、ここに滑りに行きたいな、というその日の最高の場所がある。それが軸にあって、お客さん(の実力)を見て、どこに連れていってあげられるかなと。ガイドの途中でも、その都度お客さんのスキルや体力を見極めて、常にどうやったら最高になるか、ずっと頭を使いながらガイドをしているんだよね。
オーム:本当にすごいよ。
マコ:確かに大変ではある。でもさ、自分がそこに滑りに行きたいっていう気持ちも根底にあるから、苦にはならないよね。
オーム:マコちゃんはすごく優しいよ。ラッセルの歩幅は優しくないけどね(笑)
マコ:(笑)
Photo by Kage
自然と向き合うバックカントリー
増田:朝礼での情報共有ともつながりますが、「今日の条件では、(ここに)連れて行ってあげられないな」というケースもありますよね。そういう時はどのようにお客様に納得して頂くのでしょうか ?
マコ:バックカントリーは、自然と向き合う遊びだから、そこは仕方がないかなと。お客さんに了承してもらわなければいけない場面もあるよね。途中で吹雪いてきちゃったりね。それでも最後に「楽しかった!」と言ってもらえるようにガイドとして努力をする。
オーム:自分たちは何十年もここでやってきて、(安全面を担保しながら)その時の一番いい場所に連れて行っているから。
増田:自然と向き合う以上、避けては通れないことですよね。
オーム:それがわからない人はバックカントリーをやらない方がいい。海に行っても波がない時もある。自然と向き合って遊ぶということは、そういうことだから。ガイドとして、安全面に十分に配慮しながら、いかにお客様を楽しませるかは永遠の課題だと思う。
インタビューを終えて―[人と自然と向き合うバックカントリー編] 聞き手:増田 実菜
息のあったお二人のやりとりは、長年の信頼関係の賜物だと感じました。その信頼関係の土台には、自然と真摯に向き合いながら経験を重ねてきたという共通項があるのだなと。
バックカントリーや登山は、時に誤解や偏見を持たれやすい遊びでもあります。お二人の話を聴きながら、「究極の遊び」を安全に楽しむためには、しっかりとした準備やいざという時の判断力が必要で、それを委ねられるガイドという役割の重さをひしひしと感じたインタビューでした。
Author: パウダーカンパニー