PHOTO SESSION BLOG

イワオヌプリという山

Date:2021.03.04

3月4日、日の出前から登っての朝焼けPHOTO SESSIONを終え、日中ツアーのお客様の集合時間に間に合うように急いでPowder Companyまで滑り込む。この日も今季3回目?のWヘッダーだ。

朝焼けPHOTO SESSIONでも雲が多かったが、少しずつ雲が少なくなったように思うし、日中のBC HIKEツアーは晴れの予報を信じて晴れにしか行けないイワオヌプリへ行く事をリーダーガイド山田誠は選択し、僕らは山に向かった。

何故イワオヌプリは晴れにしか行けないかと言うと、ニセコで唯一と言えるほど殆ど木が生えておらず(下部には生えているけど)、上部からどの方角へ滑ってもオープンバーンなので、視界が悪いと対象物が少ないので、斜面の向きが分からなくなってしまい、ホワイトアウトのように酷い時は右も左も、上も下も良く分からなくなり、酔いそうになってしまい滑走にならない事があるからである。視界が悪くなったら、このルートで下りれば見えるので問題無いというルートが無いのだ。なので、イワオヌプリに行くのは高気圧に北海道全体がスッポリと覆われた間違いなく晴れる時なのだが、今回のように晴れの予報を信じて半ば賭けに出る時もある。この日は少し高気圧の位置がズレているのが気になっていて、それ故に朝から雲が出ていたのだろうけど、どの天気予報を見ても大体晴れの予報だし、この日一本だけ滑って帰る常連様も居たし、ここ何日かの難しい積雪状況や風の状況からイワオのボウルは良いだろうという読みがあったので、ガイドのマコちゃんはイワオをチョイスしたのだと思う。雲が出るかな?とは思っていたが、その考えには十分賛同出来た。

イワオは急登だがショートハイクで行けるし、上級者から初心者までの満足度も非常に高いし、バリエーションもあるし、ロケーションも凄いし、見えてさえいれば良い事尽くめの最高の山なのだ。それ故にファンは多く、「もう一度イワオに行きたい!!」と熱望しているお客様も多いが、シーズン中晴れが確約された日は少ないし、Powder Companyは常に広いエリアを視野に入れていて、その日の雪とお客様の両方の視点からその日のベストポイントにご案内するスタイルなので、イワオがベストと判断してイワオに行く日は実はそう多くはないのだ。よって、イワオは近いようで遠い山と言うか、なかなか行けない(行かない)山みたいな感覚はある。

歩き始めた時は、雲があるものの青空もいっぱい見えていた。しかし、上に行くにつれ青空は徐々に強風とともに姿を消し、ドロップポイントに到着する手前では完全に白い世界となってしまった。そして、分かってはいたが稜線は強風が吹き付けた。プラス気温の晴れ予報に温かい日と思っていたお客様も居たようで、ドロップポイントの稜線で視界が良くなる迄待つ事を余儀なくされた我々の体温を強風が徐々に奪っていった。そうイワオの稜線は風が強く抜けるのである。視界が悪い時に潰しが利かない上に、風が抜けるというイワオの欠点が如実に出てしまう事になってしまった。でも、全く視界が利かないので待つしかない。多少風をかわせる所でビバークしながら、少しでも視界が利く機会を待った。すると20分位で薄っすらとイワオのロックバンドが見えて来たのを逃さず、僕がまずカメラポジションに移動する。雪が良ければまだしもだが、上部は先日の強風でガタガタで硬いのに良く斜面が見えない。しかし、見えなくても僕は地形は熟知している。薄っすら足元とその先が見える視界と足裏から伝わる感触を頼りに、滑り下りるとちょっとして視界が開けた。しかも、半信半疑だった雪質もパウダーだ!!うん、気持ちが良い!!いつものカメラポジションに移動したが、この視界と滑るラインならボトムから撮ろうとボトムまで移動し、リーダーガイドのマコちゃんに「少し下に降りれば視界が開ける事と、グーフィー側が気持ちの良いパウダーだ」と無線で伝える。ドロップポイントに居る皆はそうは言っても見えないので、安心材料にはなるが半信半疑だろうが、ガイドのマコちゃんから順番に1人ずつ滑る。皆、数ターン後に開ける視界とパウダーに感動するが、稜線で風に打たれて冷え切った体が言うこと利かない人も居たようだ。でも、結果見えたし、パウダーだったので何とかなって良かった。全く見えないままなら、稜線を皆で安全にズリズリと下りるしかなかったので。

1本で帰らなくてはイケない常連様とはここで別れて、僕らは見える範囲で風に当たらない所まで登り返し2本目を滑り、その後は下部にあるバンクセクションで当て込みセッションとなった。久しぶりにこのバンクセクションで遊んだが、なかなか皆さんヒートアップして盛り上がり、冷えた体もある程度熱を帯びたのではないだろうか?

そんなワケで天気予報には少し裏切られつつ、イワオヌプリという山を味わったツアーだった。


登り始めは青空も見えていたが…。




上部の稜線に行くと、強風が吹き荒れ、真っ白な世界となった。




滑るには視界がないので、強風の中ビバークして視界が良くなるのを待つ。




数ターンは完全に真っ白だし、寒さで身体は固まり、後にSNSで「ここ数年で一番緊張したドロップ」と語ったYさん。




運良く視界が抜けた時に滑ったこの一本でニセコを後にしたTさん。




秋田からこの日の早朝にニセコに到着し、少しの仮眠後にツアー参加し、パウダーを嚙み締めたKさん。




2本目はアンヌプリ山と倶知安の町をバックに滑るIさん。




下部のバンクセクションでスプレーを飛ばすリーダーガイド山田誠。




スキーで必死にバンクに当て込むテールガイド中村美峰子。   

Author: Kage Photo

kage

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