PHOTO SESSION BLOG

ミスからの忘れられない夢のようなツアー

Date:2022.03.21

こんばんは、Kageです。

昨日は5人組のリピーター様達とBC HIKEツアーにてPhoto Sessionしてきました。

ここ最近のニセコは徐々に春へと移行する季節の変わり目となっていて、まとまった降雪は殆ど無くなり、日中の最高気温はほぼ毎日プラス気温、パウダーを探し当て滑れる事が貴重な時期になってきました。

そんな中今回南岸低気圧ながら少し大きめの低気圧が来て、強風と多少の降雪をもたらしました。今朝は麓で10cm弱の降雪があり、期待は出来ましたが、反面気温が高いので山は真っ白で、物凄い大粒の雪が大量に降っており視界不良で、1番カメラマン泣かせの天候に若干気が重くなっていました。しかし、風がかなり強いお陰で雲の流れが速く、時折雲の隙間から晴れ間や光が射してくれるタイミングが頻繁にある事を確認すると、期待に胸が膨らみながら出勤しました。

しかし、今日僕はあるミスを犯してしまいました、お客様に1人スキーヤーが居て、シールで登る事を確認出来て居なかったガイド陣、誰もスプリットボードを用意していなかったので、「じゃあ俺車にスプリットあるから、俺がスプリットで行くよ!」とスリッドボードを持って出勤したものの、急遽出発前にスプリットに持ち替えて山に向かいました。以前からこのケースは度々あるので、車で板を交換し、スノーシューからシールへと交換すればOKだった。

ミスに気が付いたのは、今日のツアーに選んだ羊蹄山のとある登口で、いざ登山開始となる時だった。僕は長い事シマノ(ヨネックス)製のステップイン「アキュブレード」を愛用していて、スノーボード、スプリットボード、スノーシュー全てこのステップインシステムに統一されていて、脱着が速く楽なので仕事柄大変重宝していた。しかし、アキュブレードのブーツの生産が無くなり、ブーツの耐久性に限界となっていたここ数年、アキュブレードに変わるシステムを考える時期に来ており、脱着の楽さからバートンのステップインシステムであるステップオンも考えていた。POWCOMガイドの山田誠がバートンから足回りをサポートされている事もあり、マコちゃんの紹介でステップオンのブーツとバインを貸し出してくれる事になり、ここ数週間色々なコンディションで実際に仕事をしながら試させて貰っていた。実践で長く試せるのは本当に有難い。しかし、事件が起きたのである。

いざハイク開始とスプリットボードに付いているバイン(シマノ製のアキュブレード)に足をセットした瞬間、「あれっ!?足が固定されない!?」、「んっ、ああああああぁぁぁぁ!!!!」、僕が履いているブーツはバートンステップオン、バインはアキュブレード、異なるステップインシステムでは幾らやっても足が固定される筈もない。「あぁ~、やっちまった!」。羊蹄山の登山口なので、家にブーツを履き替えに戻っても1時間弱掛かる。まぁ~先に登っていて貰っても1時間の遅れならドロップインまでには充分追い付けると思うが、ハイク中の写真は撮れない。「どうしよう?」。仕方なく持っていたスキーバンドでブーツとバインを縛り付け、登りも滑りもそのままスキーモードでやるしかない。少し歩いてみてダメそうなら、家にブーツを履き替えに帰ろうと考えた。以前から立山などでも、シールの張替えが面倒なので、そのままスキーモードで滑って、そのまま再び登るって事もやっていたので、その点はそんなに心配していなかった。唯一心配したのは下山時に斜度が無くなってからシールを剥いでのスキーモードが結構大変だろうなという事だった。シールをしたままだと安全だが斜度がないと滑走はしないので時間が掛かってしまうし、シールを剥げば僕のレベルでは板が走り過ぎてしまうし、僕のスプリットはインエッジが無いのでスキーのターンも難しいし、ボーゲンも難しい、踵が固定出来ないのでバランスを崩すと前に体ごと倒れてしまう。ようはエッジのないテレマークスキーをスキーをしないスノーボーダーがやる話なのだ。まぁ~帰りの事は何とかなるとして、実際歩き始めてみた。歩いてみると一度スキーバンドを締め直した以降は、多少踵が浮くとか遊びがあるとか細かい事を気にすればあるが、意外にも何の問題もないレベルなのでそのままツアー続行。もう一つ懸念していたクラストの上にパウダーが載った急斜面のシール登攀も問題なくクリア。

いよいよ滑る斜面が見えて来た頃、足元は40cm位のパウダー、その下のクラストも場所によって殆ど感じられない。そして、ノートラック。斜面は最高の状態だ。おまけに青空まで見えて最高の光が斜面を照らしている。否が応でも気分は最高の状態まで上がったが、ドロップポイントに立ってふと気が付いた「そうだ、喜んでいる場合じゃない、俺はこのウネッた斜面をエッジのないテレマークスキーで降りなくてはいけないのだ」、最高の状態の斜面を目の前にぬか喜びしてしまったが、「光がなくなる前にカメラポジションに移動して撮影を開始しなくては!急げ!!」、斜面がウネっていなければ恐らく転ばずに行けた気がするが、2回転倒し転がりながらも無事にカメラポジションへ移動し、光がある最高の状態で一本目の撮影が出来た。皆のスプレーは半端じゃないオーバーヘッドで、まるでハイシーズンのようだった。ハイシーズンのニセコでも40cmパウダーで光もバッチリ入った撮影なんて貴重だし、テンション爆上がりなのに、ここ何日かのほぼ全面クラストでパウダーを探すのに苦労していた状況から考えると夢の世界だった。ましてや、あの歩き始めの一瞬凍り付いた事件から考えると、この夢の世界は、架空のおとぎ話かもしれないが、カメラにはしっかりとこの時期にしてはとんでもないスプレーショットが残されていた。「やったぜ、ミスを乗り越えて来た甲斐があったぜ!!」。

そして、2本目、3本目と順調にこなし、視界不良の時間もあったけど、滑る時には何だかんだ光や青空まで入り、風も殆ど感じず(ニセコは終始爆風だったそう)、まさに最高の夢のような一日となった。

一番心配だった斜度がなくなってからの下山道も、一回転んだだけ(一日通しても3~4回転んだだけ)で、それほど皆さんをお待たせせずに無事に下山出来て良かったです。久しぶりの大きなミスから始まった一日だったが、結果ストーリー的にも、コンディション的にも、忘れられない最高のツアーとなりました。


皆さん持つべきはスキーバンド。結局一日中これで何の問題もなく、羊蹄山に行って帰ってこれたのですから。スノーシューやソフトバインのストラップ切れ、荷物や怪我時の固定など色々と対処出来ます。常に6本くらいバックに持っておく事をお勧めします。




羊蹄山へと向かうとある林道。なんだかフォトジェニック僕の好きな場所の一つ。




一本目大きなスプレーを上げるSさん。




一本目に転倒してしまっていたので、ナイスターンを決めて、「一枚良い写真残せて良かったぁ~」と最高の笑顔を見せたNさん。




青空をバックにニコニコでターンするIさん。




「Kageさんの前でええターンしないと」と、写真を見て自画自賛だったTさんのターン。




大きいスプレーショットと悩んだが、木漏れ日が綺麗だったのでこちらを掲載。Kさんの一本目。




本日のリーダーガイド佐野雄介。




テールガイド小林明弘。他にも載せたい写真があるが、ここでは控えておこう。

Author: Kage Photo

kage

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