Tent Tour Day1 : 全てが完璧過ぎるフィルムクラストの朝焼けセッション編
Date:2019.04.13
こんばんは、Kageです。
この土日でちゃんとした形としては2014年からスタートし6年連続6回目となる僕が監修のテントツアーでした。
僕は確か2003-2004年シーズンから震災のあった2011年までの8シーズンの間12月〜3月下旬までをニセコ、3月下旬〜4月中下旬までをアラスカでずっとテントで暮らしていた。そう年間100~120日位テントで寝ていたのだ。
最初のうちは毎日「今夜は何処にテント張ろうかな?明日は晴れそうだから羊蹄山が見える所に張ろう!」などと考えながら、あちこち場所を変えながら暮らしていた。冬は夏と違って一面深い雪に覆われるので、ある程度何処でもテントが張れる。毎日自分の求める景色や狙う山へのアクセス等を考えて移動しながら暮らしていた。時に雪原だったり、川のほとりだったり、林の奥だったり、山の上だったり、駐車場の脇だったり…。今では深夜まで外国人が出歩いているのでなかなか難しいが、ヒラフエリアでも何度となくテントで寝た。普通は家からの景色は引っ越さない限り変えられないが、こっちは毎日簡単にお引っ越しが出来るから気分によって張る場所を変えていた。それをニセコやアラスカ、そして雪を求めて移動した富良野美瑛方面などでも、ずっとそんなスタイルだった。最高の贅沢だった。
しかし、それが何シーズンもの間毎日だと、テントの場所決めて、寝る快適性を求めてテントの下の雪を固めて平らにして、テントを張って畳んでを毎日やっているのも面倒になってきて、最後の3〜4シーズン位はモイワスキー場脇の林の中に張りっぱなしにして暮らしていた。時折天気が良いと景色の良い場所にお引っ越ししたけれど。そんな暮らしに今の嫁さんも5シーズンも一緒に付き合ってくれた。
まぁ〜それはさておきテント暮らしの魅力はテント場からの景色は勿論のこと、テント場によっては滑る斜面へのアクセスが良いので、朝焼けや夕焼け等1番焼けている時間での滑走が容易になるというのがある。長年テントで暮らしてきた僕がその魅力と楽しさ、そしてノウハウを伝える目的で始めたのが、このテントツアーだ。
通常のパウコムツアーは8:30から昼過ぎ位迄なので、朝焼けや夕焼けの時間ツアーは行なっていない。勿論天気によるのだが、その時間の滑走、そして写真はとてもスペシャルで感動的なものだ。なので普段なかなか経験出来ない事を体験出来るのが、このツアーの最大の魅力だ。
通常のテントツアーは一泊二日で、初日朝8:30に集合してテント場迄荷上げのハイク、その後テント場にキャンプ道具をデポして滑走、夕焼けセッション、テント場で夕飯、就寝。2日目は早朝起床し朝焼けセッション、テントで朝ご飯、ハイクして滑走、昼頃テント撤収下山というのが基本的な流れだなのだが、天気によっては初日の早朝に集合してまず朝焼けセッションをする場合もある。やはりこのツアーの最大の魅力を少しでも可能性ある限り実行し体験して頂き、更に写真に残したいからだ。過去2回このパターンで、今回も2日目が朝焼けになる可能性が低いので初日朝焼けセッションを決行することにした。今回お客様から聞いて初めて気付いたのだが、実はお客様達にとってはこの初日に朝焼けセッションする方が楽だと言うのだ。何故なら2日目テントツアーが終わったら帰る方がほとんどで、その日に朝焼けセッションして、日中も滑って、荷下げして、そして千歳に移動して帰るのは結構辛いのだそうだ。なるほど。
朝焼けセッションする場所は当然視界が広くて朝焼けが見える場所で、且つ滑走写真のバリエーションが短時間の内に沢山撮れる場所が望ましい。あとこの時期の早朝は雪がカチカチな事が多いので、斜度がなく滑り易くないと滑走にならないし、アクセスが楽で短くないと集合時間がやたらと早くなってしまうし、その後の行程に響く程体力を消耗してしまうので、場所選びはかなり難しい。その条件を満たすポイントは、ニセコエリアは広大と言えどかなり限られてくる。それはテント場も同様で、朝焼けと夕焼けの滑走に適した場所へのアクセスが良く、麓からテント場へのアクセスも大変なので頃合いが重要だし、天候が悪くなっても対応が出来る場所となる。
今回は今までずっとこのテントツアーのリーダーガイドは岸君だったが、昨年テントツアーからの引退表明をし、今回は佐藤岳が新しいリーダーガイド兼調理長となった。その岳としばらくの間、テント場、朝焼けセッションや夕焼けセッションのポイント、日中の滑走ポイント等、天気図と睨めっこしながらずっと協議を続けてきていた。
そして、テント場は第一回、第二回と過去2回使用した場所に決めた。しかし、朝焼けセッションするポイントは、今回は初日にするのでテント場からのアクセスではなくなり選択肢が広がったのだが、過去に使ってきた場所以外にあまり良い場所が見当たらず悩んでいた。
ツアーの数日前からずっと晴れていたので、日の出前に起きて日の出の時間の光の当たり具合を確認していて、幾つかの候補は挙がったが、条件を完璧に満たす程の良い場所ではなかった。それを岳と相談すると、「あそこはどうですかね?」と僕の候補になかった場所を提案してくれた。そこのポイントを聞いた時、大きい山に隠れて日の出の頃は朝日が当たらないのではと思い、良い場所とは思わなかったが実際に見てみないと分からないので、ツアー前日の同じ時間に1人で行ってみる事にした。
すると、予想通り滑る斜面には朝日が当たらないのだが、アクセスが非常に楽なのに、かなり色々なバリエーションが取れ、朝日が当たらなくても良い写真が沢山撮れる事が判明した。朝焼けをやるには想像以上に凄く良い場所だった。次の日の滑る場所を汚さないように考えながら、三脚にセットしたカメラのインターバルタイマー機能を使って1人朝焼けフォトセッションを開催したのだった。そのお陰でバッチリロケハン出来て気持ち良く場所が決まった。
その下見の時は登り始めたのが少し早く、ハイクしている時にも写真撮るには暗過ぎる内に到着してしまったし、ましてやシャータースピードをある程度速くしないといけない滑る写真を撮るにも明るくなるまで少し待たないといけなかったので、前日の下見を元に登り始める時間と滑り始める時間を綿密に計算して集合時間等を設定した。
日の出時刻は5:00に対し、少し前の4:37頃からなら滑る写真が撮影可能なので4:00登り始めとし、それに合わせてお客様の宿にピックアップしに行った。案外順調にピックアップして集合出来たので、すぐに登ってしまうとハイクの写真が暗過ぎて良い写真が撮れないから、多少登り始めまでの時間調整をしてから予定通り4:00にハイクを開始した。
今回のお客様は5名で全員が昨年のテントツアーの参加者だったため、自己紹介の必要もなく、暗闇の中で1年ぶりに笑顔と挨拶を交わし、登り始めた。
しかし、登り始めて暫くしてある事件が起きた。お客様の1人がヘッドランプを落としてしまい、斜面の下の方まで転がって行ってしまったのだった。その時に拾いに行けば、ヘッドランプの明かりが暗闇に光るので直ぐに見つけられただろうが、それを拾いに行く時間は無く、そこから目的地までは直ぐだし、少しずつヘッドランプが不要な明るさまでなり始めていたので諦めて上を目指した(帰りに探しに行ったが見つけられなかった)。
何故かこのテントツアーは毎回何かトラブルが発生する。キツネにテントや行動食の入ったバックパックを破かれたり、調理長が皆の晩御飯となるお米を忘れたり、調理器具の故障で僕の手が燃えたり…。今回は何が起こるかな?と思っていたが早々に起きてしまった。しかし、車に戻ればヘッドランプの予備はあり夜には使えるから問題はない。
その頃から澄み切った夜空に山のシルエットが聳え、山と山の間の谷合の水平線が色濃く染まり始め、濃いオレンジ色から深い群青色までのグラデーションが作り物のようで、息を呑む美しさに目を奪われた。これは最高の朝焼けセッションになるぞ!
時間的には綿密な計算のお陰で全てが予定通り進み、焦らずに登って、素晴らしいハイクの写真も撮れたし、ドロップポイントで滑る準備をしてから待つ時間も無く朝焼けセッションをスタートした。
いつもはカチカチの雪も今回はなんと全面フィルムクラストが決まっていて、非常に滑り易い。これ以上ない最高コンディションだ。それに雲1つ無い澄み切った空にグラデーションときた、感動と興奮が渦巻きながらのセッションとなった。
また今回は皆テントツアーのリピーター様なので撮影の要領も熟知していて、大変スムーズに朝焼けセッションが進行して行く。前日のロケハンも相まって滑るポイント、時間配分、進行まで全てが完璧だった。
そして、朝焼けセッション終盤は光の当たるポイントに少し移動し、フィルムクラストが朝日を浴びてビカビカに輝く場所で太陽に向かって光の筋を滑走。シーズンに一度あるか無いかの全面フィルムクラストビカビカコンディションがこの朝焼けセッションで出来るとは。最高極まり無い。こんなフィルムクラストを見たことない方も多く、本当に感動されていましたね。そんなワケで天候と雪、ポイント、タイミング、ペース配分、メンバー等、全てが完璧に整った出来過ぎのようなツアースタートとなりました。
澄み切った夜空に山のシルエットが聳える中、ヘッドライトの灯りを頼りにハイクアップ。最高の一日の始まりだ。
濃いオレンジから深い群青色までのグラデーションが作り物のようだった。
4:19ドロップポイントに到着。登り切ってこの光景を目にした時の事を想像してみよう!きっとあなたは来年このツアーに参加している筈だ!?
日の出前の美しいグラデーションの中を滑るOさん。
4年ぶりに2回目のテントツアー参加となったテールガイド小林明弘。
アンヌプリと羊蹄山をバックにターンをするKさん。
テントツアー6回全てに参加してくれているNさん。
朝焼けに染まるニセコ連峰をバックにターンを決める紅一点ご参加のUさん。Gentem T.T.Modelでターンを決めまくってました。
淡いグラデーションもまた美しい。Mさん。
夢か現実か?360度、目の前の光景全てが美し過ぎた。
朝日の当たる場所に移動すると、フィルムクラストが朝日で輝いていた。
フィルムクラストの光の筋を朝日に向かって滑るテントツアーの新リーダーガイド佐藤岳。
Author: Kage Photo
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